フィリピン・クラークを訪れる観光客にとって、現地でのスマートフォン利用は必須です。配車アプリのGrab、Google Maps、SNS、緊急時の連絡など、あらゆる場面でインターネット接続が必要となります。本記事では、クラーク国際空港でのSIMカード購入から設定まで、2025年最新の情報を基に詳しく解説します。
2025年のフィリピンSIMカード事情
SIMカード登録義務化の重要変更
2022年12月27日以降、フィリピンでは犯罪抑止の観点から、SIMカードへの個人情報の登録が義務化されました。これは観光客や留学生が使うプリペイドSIMにも適用されるため、空港などでSIMカードを購入する際にはパスポートと帰りのフライトのEチケットの控えが必要となります。
登録に必要な情報
- ビザの種類
- 国籍
- パスポートの顔写真
- 名前
- 滞在先住所
空港でSIMカードを販売するスタッフが登録のお手伝いをしてくれますが、登録には1人少なくても5~10分は掛かりますので、フライトの到着が重なってたくさんの観光客がいる場合は、かなり待つことになる可能性があります。
通信インフラの進歩
フィリピンの通信インフラは年々アップデートされており、特に都市部(クラークやマニラ周辺)では4G/LTEだけでなく5Gのエリアが徐々に拡大してきています。現地SIMを使うことで、スマホの機種によっては5G通信が利用可能になる場合もあります。
2025年現在の通信状況
- 5G対応エリアの拡大:クラーク経済特別区中心部や空港周辺、大型ショッピングモール近辺で利用可能
- セキュリティ面の強化:登録義務化により不正利用対策が向上
- 通信速度の安定化:主要キャリアの設備投資により全体的な品質向上
フィリピンの主要通信キャリア比較
Globe vs Smart:どちらを選ぶべきか
フィリピンの代表的なSIMカードは、GlobeとSmartの2社が提供しています。これらはフィリピン国内にある他通信キャリアと比較しても通信速度が安定しており、普段使いするのであれば問題ありません。安さ重視であれば「Globe」、SNSを使用するなら「Smart」を選ぶといいでしょう。
Globe(グローブ)の特徴
メリット
- 料金プランが比較的安価
- プリペイド式で使いやすい
- 期間内に使える容量が明確
- 全国的なカバレッジ
デメリット
- 一部エリアで通信速度がやや劣る場合がある
- ピーク時間帯の混雑
主な料金プラン(2025年5月時点)
- GOSURF50:50ペソ(1GB/3日間)
- GOSURF90:90ペソ(2GB/7日間)
- GOSURF299:299ペソ(8GB/30日間)
Smart(スマート)の特徴
メリット
- SNS利用に特化したプラン
- 通信速度が安定
- Facebook、Instagram、YouTube等の専用プラン
- 都市部での電波状況が良好
デメリット
- Globeと比較して料金がやや高め
- 地方での電波状況にばらつき
主な料金プラン(2025年5月時点)
- GIGA50:50ペソ(1GB/3日間)
- GIGA90:90ペソ(2GB/7日間)
- GIGA299:299ペソ(6GB/30日間)
クラーク国際空港でのSIMカード購入方法
空港内のSIMカード販売場所
クラーク空港へのフライト到着後、入国審査を終え、税関を抜けると、ちょっとした販売フロアとなっています。ターミナルビルを出る手前側に両替所とSIMカード販売所が並んでいます。免税店もあるので、制限エリアを出る前に必要な手続きを済ませることができます。
販売場所の特徴
- 到着ロビー内の分かりやすい場所
- 複数のキャリアカウンターが並列
- 24時間ではないが、主要フライト到着時間には営業
- 英語対応可能なスタッフ常駐
購入時に必要なもの
必須携行品
- パスポート原本
- 帰りのフライトのEチケット控え
- 現金(ペソまたはUSドル)
- SIMロック解除済みのスマートフォン
購入手順の詳細ステップ
Step 1: キャリア選択
到着ロビーでGlobeまたはSmartのカウンターを選択します。どちらも同じエリアにあるため、混雑状況や料金プランを比較して決定できます。
Step 2: プラン選択
滞在期間と使用予定データ量に応じてプランを選択します。観光客向けの推奨プランは以下の通りです。
短期滞在(3-7日間)
- Globe GOSURF90:90ペソ(2GB/7日間)
- Smart GIGA90:90ペソ(2GB/7日間)
中期滞在(1-2週間)
- Globe GOSURF299:299ペソ(8GB/30日間)
- Smart GIGA299:299ペソ(6GB/30日間)
長期滞在(1ヶ月以上)
- 複数の30日プランまたは現地での追加チャージ
Step 3: 個人情報登録
2025年現在、最も時間のかかる手続きです。スタッフがサポートしてくれますが、以下の情報提供が必要です。
登録プロセス
- パスポート情報の入力
- 顔写真の撮影
- 滞在先住所の記入
- 帰国便情報の登録
- 署名・確認
所要時間:5-10分/人
Step 4: SIMカード挿入・初期設定
購入後、スタッフがSIMカードの挿入と基本設定を手伝ってくれます。ただし、自分でも設定方法を理解しておくことが重要です。
SIMカード設定方法(キャリア別)
Globe SIMの設定手順
iPhone設定方法
- SIMカード挿入
- 電源を切ってSIMカードを挿入
- 電源を入れ直す
- APN設定
- 設定 → モバイル通信 → モバイルデータ通信ネットワーク
- APN:internet.globe.com.ph
- ユーザー名:(空白)
- パスワード:(空白)
- プラン有効化
- *143#をダイヤル
- 利用可能なプランを確認・購入
Android設定方法
- SIMカード挿入
- 電源を切ってSIMカードを挿入
- 電源を入れ直す
- APN設定
- 設定 → ネットワークとインターネット → モバイルネットワーク → アクセスポイント名
- 新しいAPNを作成
- 名前:Globe
- APN:internet.globe.com.ph
- プラン有効化
- *143#をダイヤルして購入確認
Smart SIMの設定手順
iPhone設定方法
- SIMカード挿入
- 電源を切ってSIMカードを挿入
- 電源を入れ直す
- APN設定
- 設定 → モバイル通信 → モバイルデータ通信ネットワーク
- APN:smartlte
- ユーザー名:(空白)
- パスワード:(空blank)
- プラン有効化
- *121#をダイヤル
- 利用可能なプランを確認・購入
Android設定方法
- SIMカード挿入
- 電源を切ってSIMカードを挿入
- 電源を入れ直す
- APN設定
- 設定 → ネットワークとインターネット → モバイルネットワーク → アクセスポイント名
- 新しいAPNを作成
- 名前:Smart LTE
- APN:smartlte
- プラン有効化
- *121#をダイヤルして購入確認
データプランの購入・追加方法
USSDコードによる購入方法
フィリピンのSIMカードはプリペイド式が主流で、USSDコード(*で始まる番号)をダイヤルしてプランを購入します。
Globe プラン購入コード
基本コード:*143#
人気プランの直接購入
- GOSURF50:14350#
- GOSURF90:14390#
- GOSURF299:143299#
Smart プラン購入コード
基本コード:*121#
人気プランの直接購入
- GIGA50:12150#
- GIGA90:12190#
- GIGA299:121299#
アプリを使用した購入方法
両キャリアとも専用アプリを提供しており、より使いやすいインターフェースでプラン購入や残高確認ができます。
GlobeOne アプリ
- App StoreまたはGoogle Playからダウンロード
- アカウント登録後、クレジットカードまたはPayPalで支払い可能
- データ使用量の確認・プラン変更が簡単
Smart アプリ
- App StoreまたはGoogle Playからダウンロード
- 直感的なUI設計
- リアルタイムでのデータ使用量監視
クラーク市内でのSIM購入・チャージ方法
コンビニエンスストアでの購入
空港で購入し忘れた場合や追加SIMが必要な場合、市内のコンビニエンスストアでも購入可能です。
主要購入場所
- 7-Eleven(セブンイレブン)
- Ministop(ミニストップ)
- SM Store(SMマート)
営業時間
- 7-Eleven:24時間営業(店舗により異なる)
- Ministop:6:00-24:00(一般的)
- SM Store:10:00-22:00
正規ストアでの購入
より詳しいサポートを受けたい場合は、キャリアの正規ストアを利用します。
Globe Store
BGC内店舗
- Bonifacio High Street:月-日 10:00-22:00
- SM Aura:月-日 10:00-22:00
マニラ市内主要店舗
- Greenbelt(マカティ):月-日 10:00-21:00
- SM Mall of Asia:月-日 10:00-22:00
Smart Store
BGC内店舗
- Bonifacio Global City:月-日 10:00-22:00
マニラ市内主要店舗
- Glorietta(マカティ):月-日 10:00-21:00
- Robinsons Place Manila:月-日 10:00-22:00
ロード(チャージ)方法
データプランを追加購入する際は、まずSIMカードに「Load(ロード)」と呼ばれるクレジットを追加する必要があります。
コンビニでのロード方法
- レシート方式
- コンビニでロードカードを購入
- カードに記載されたコードを入力
- 直接チャージ
- 店員に電話番号を伝える
- 現金でチャージ金額を支払う
- オンラインロード
- GCash(フィリピンの電子マネー)
- PayMaya(電子ウォレット)
- クレジットカード(一部対応)
観光客におすすめの料金プラン
滞在期間別推奨プラン
3-5日の短期滞在
推奨:GOSURF90(Globe)またはGIGA90(Smart)
- 料金:90ペソ(約234円)
- データ容量:2GB
- 有効期間:7日間
- 理由:コストパフォーマンス最高、短期滞在に最適
1-2週間の中期滞在
推奨:GOSURF299(Globe)
- 料金:299ペソ(約778円)
- データ容量:8GB
- 有効期間:30日間
- 理由:データ容量が豊富、Globeの方が容量多い
3週間以上の長期滞在
推奨:GOSURF299(Globe)+ 追加プラン
- 初月:GOSURF299(8GB/30日)
- 追加:GOSURF90を必要に応じて購入
- 月額予算:300-500ペソ程度
用途別おすすめプラン
SNS中心利用者
Smart推奨
- FacebookやInstagram利用に特化
- GIGA299:6GB/30日/299ペソ
- アプリ別の無制限プランあり
地図・配車アプリ中心利用者
Globe推奨
- データ容量重視
- GOSURF299:8GB/30日/299ペソ
- Grab、Google Maps利用に十分
ビジネス利用者
両キャリア併用推奨
- 冗長性確保のため両方契約
- 月額予算:600-800ペソ
- 重要な通信の確実性向上
トラブルシューティング・よくある問題
SIMカードが認識されない場合
確認事項
- SIMロック解除確認
- 日本のキャリアでSIMロック解除済みか確認
- 設定で他社SIM利用可能か確認
- SIMカードサイズ
- nano-SIM、micro-SIM、標準SIMのサイズ確認
- 必要に応じてアダプターや交換を依頼
- 挿入方向
- SIMカードの向きが正しいか確認
- 金属部分の接触確認
解決手順
- 再起動
- 電源を切って10秒待機
- 再度電源を入れる
- ネットワーク設定リセット
- iPhone:設定→一般→リセット→ネットワーク設定をリセット
- Android:設定→システム→リセット→ネットワーク設定をリセット
- 手動ネットワーク選択
- 設定→モバイル通信→ネットワーク選択→手動
- GlobeまたはSmartを選択
データ通信ができない場合
APN設定の確認
Globe APN設定
- APN:internet.globe.com.ph
- ユーザー名・パスワード:(空白)
- 認証タイプ:なし
Smart APN設定
- APN:smartlte
- ユーザー名・パスワード:(空白)
- 認証タイプ:なし
データローミング設定
- iPhone設定
- 設定→モバイル通信→通信のオプション→データローミング:オン
- Android設定
- 設定→ネットワークとインターネット→モバイルネットワーク→データローミング:オン
残高・データ残量確認方法
Globe残高確認
- 基本残高:*143#
- データ残量:1431#
- 有効期限:1432#
Smart残高確認
- 基本残高:*121#
- データ残量:*123#
- 有効期限:1211#
SIMカード利用時の注意事項
セキュリティ面での注意
個人情報の保護
登録義務化に伴い、SIMカード購入時に多くの個人情報を提供する必要がありますが、以下の点に注意してください。
注意点
- 正規販売店での購入を徹底
- 登録情報の控えを保管
- 不審な要求には応じない
- パスポート原本の取り扱い注意
通信セキュリティ
推奨対策
- 重要な通信はVPN使用
- 公共Wi-Fiとの併用注意
- 個人情報の送受信は避ける
- 定期的なアップデート実施
法的・規制面での注意
利用規約の遵守
フィリピンの通信法に基づく利用規約を遵守する必要があります。
禁止事項
- 違法コンテンツのアクセス・送信
- 著作権侵害行為
- ネットワークへの不正アクセス
- スパム・迷惑メール送信
登録情報の正確性
重要な義務
- 提供情報の正確性確保
- 住所変更時の更新
- 紛失時の迅速な報告
- 不正使用の防止
代替手段:eSIMという選択肢
eSIMのメリット・デメリット
2025年現在、物理的なSIMカード以外にeSIMという選択肢も利用可能です。電話を使用しないようであれば、SIMと同じ機能をもつ電子SIMカード「eSIM」が一番手軽な方法です。
eSIMのメリット
利便性
- 事前に日本で購入・設定可能
- 物理的なSIMカード不要
- 複数の通信プランを同時契約可能
- 紛失リスクなし
登録手続き
- フィリピンで使えるeSIMの中には、登録手続きが不要なものがあります
- 個人情報登録の煩雑さを回避可能
eSIMのデメリット
対応機種限定
- iPhone XS以降、一部Android機種のみ
- 古いスマートフォンでは利用不可
電話番号
- データ専用プランが主流
- 現地での音声通話ができない場合が多い
料金
- 物理SIMと比較して割高な場合がある
推奨eSIMサービス
Holafly(オラフライ)
特徴
- 個人情報登録不要
- データ容量無制限プランあり
- 日本語サポート対応
- 24時間カスタマーサービス
料金例
- 5日間無制限:3,400円
- 7日間無制限:4,400円
- 15日間無制限:7,400円
その他のeSIMサービス
- Airalo:世界対応、比較的安価
- Ubigi:大手通信会社系列、安定性高
- GigSky:アメリカ系、高速通信
まとめ
滞在期間・用途別推奨
フィリピン・クラークでのSIMカード利用は、滞在期間と利用目的に応じて最適な選択肢が異なります。以下のガイドラインを参考に、自分に最適なプランを選択してください。
短期観光客(3-7日)
推奨:Globe GOSURF90
- コストパフォーマンス重視
- 2GB/7日間で十分な容量
- 設定サポートが充実
中長期滞在者(1週間以上)
推奨:Globe GOSURF299
- データ容量8GB/30日間
- 追加チャージも容易
- 安定した通信品質
ビジネス利用者
推奨:Globe + Smart両方契約
- 冗長性確保で通信トラブル回避
- キャリア間の電波状況差を補完
- 重要な通信の確実性向上
2025年の注意すべきポイント
登録義務化への対応事前準備
- パスポート原本の携帯
- 帰国便Eチケットの印刷・保存
- 滞在先住所の事前確認
- 登録時間(5-10分)の考慮
通信品質の向上
活用ポイント
- 5Gエリアでの高速通信活用
- セキュリティ強化の恩恵
- アプリでの簡単管理
最終的な推奨事項
クラークでのSIMカード利用は、適切な準備と正しい設定により、日本と変わらない快適な通信環境を実現できます。以下の点を心がけてください:
- 事前準備の徹底:必要書類の確認と携帯
- キャリア選択の最適化:利用目的に応じた選択
- 設定方法の理解:トラブル時の自己解決能力
- セキュリティ意識:個人情報保護と安全な利用
- 代替手段の検討:eSIMも含めた総合的判断
フィリピン・クラークでの快適なデジタルライフを実現するため、本記事の情報を参考に、最適なSIMカード選択と適切な設定を行ってください。

