【重要】この記事を読む前に
マニラのスラム街訪問は、単なる観光ではありません。面白半分で行く場所ではないので、真剣に彼らの生活に興味がある方のみお問い合わせください。
この記事では、フィリピンの貧困問題を学び、理解を深めたいと真摯に考える方のために、安全かつ敬意を持った訪問方法をご紹介します。
訪問前に理解すべきこと
- スタディツアー目的:学びと理解のため
- 住民への最大限の敬意:彼らの生活空間を訪問させていただく
- 写真撮影のマナー:必ず許可を得る
- お金を直接渡さない:依存を生まない
- ガイド同行必須:一人での訪問は危険
マニラのスラム街とは
トンド地区の概要
マニラの北西部・トンド地区に有名なスラム街が存在します。トンド地区のスラム街は「スモーキーマウンテン」とも呼ばれており、一度は耳にした方も多いのではないでしょうか。
私たちが訪れたのはフィリピン最大都市、マニラにある「ハッピーランド」と「スモーキーマウンテン」。両方ともトンド地区というエリアに存在していて、そこに住む住人の数が東南アジアのスラムで最大だそう。
トンド地区の主なエリア:
- ハッピーランド(Happy Land):約20,000人が居住
- スモーキーマウンテン跡地:かつてゴミ山があった場所
- R-10通り沿い:現在もゴミの分別作業が行われる
スモーキーマウンテンの歴史
スモーキーマウンテンは、もともとは漁村でしたが、フィリピンはゴミの集積場が少ないこともあり、1954年にゴミ投棄場所となりました。以降、大量のゴミが捨てられることで、貧しい人々が収入になりそうな廃品を回収するようになりました。
「スモーキーマウンテン」という言葉は、大量のゴミが山のように積み上がり、そこから自然発火し、煙が出たことが由来となっています。スモーキーマウンテンで廃棄されたゴミを拾って、生計を立てている人々はスカベンジャー(腐った肉を食べる動物)と呼ばれていた時期もありました。
スモーキーマウンテンの現在:
- 1995年:政府によりゴミ山は閉鎖
- 跡地に公団住宅を建設
- しかし住宅はすぐにスラム化
- R-10(Radial Road 10)という大きい道路沿いでは廃棄物処理活動がいまでも行われています。スモーキーマウンテンはもうないけど、ゴミが集まる場所のようです
【安全な訪問方法】スラムツアーガイド
なぜガイド付きツアーが必須なのか
治安が悪いと言われているフィリピンのマニラ。その中で、行ってはいけない危ない地域としてよく挙げられるのが、Tondo(トンド)とQuiapo(キアポ)。置き引きやスリが多く、犯罪も多い。
一人で行くリスク:
- スリ・置き引きの危険
- 道に迷う可能性
- 住民とのトラブル
- 緊急時の対応困難
- 適切な訪問マナーがわからない
おすすめスラムツアー
1. 専門スラムツアー会社
ガイドスタッフはツアー案内の訓練を受けており、周辺の歴史など知識も豊富です。わからないことや質問があればなんでも聞いてください。
基本情報:
- 料金:約3,000~5,000ペソ/人(約8,000~13,000円)
- 所要時間:3時間
- 催行:基本毎日
- 含まれるもの:ガイド、地元交通費、バランガイオフィスへの寄付
ツアー行程: 当日は現地集合になります。マニラ市内トンド地区にて指定のファストフード店で現地ガイドと待ち合わせをしていただきます。(マカティ市内からタクシーで20分ほど、電車で40分ほど)
- 10:00 ファストフード店集合、説明
- 10:15 ジプニーでハッピーランドへ移動
- 10:30-11:30 ハッピーランド見学
- 11:45 トライシクルで橋の下のスラムへ
- 12:00 橋の下のスラム見学
- 12:30-13:00 ローカルランチ
- 13:00 解散
2. NPO・NGO団体のスタディツアー
今回はスラムツアーに申し込んで、友達と一緒に参加。ツアーガイドさんとの待ち合わせ場所は、トンド地区のジョリビー
メリット:
- 社会問題を深く学べる
- 支援活動の現場を見られる
- 寄付が直接支援に使われる
- 日本語対応がある場合も
主なNPO団体:
- ACCESS(アクセス)
- グローリアセブ
- 各種スタディツアー団体
トンド地区への行き方
マカティ中心部から
Grabタクシー:
- 所要時間:20~30分(渋滞により変動)
- 料金:150~300ペソ
- 目的地:Jollibee Tondo支店(待ち合わせ場所)
LRT(電車):
- LRT1線でBlumentritt駅またはDoroteo Jose駅下車
- 所要時間:約40分
- 料金:15~30ペソ
- 駅から徒歩またはトライシクル
ツアー当日の流れ【詳細】
ステップ1:集合・説明(30分)
まずはルールの確認、貴重品などを保管し、トンドのバランガイオフィスを訪れます。バランガイオフィスとは公民館のようなイメージで公的な書類を発行したり、住民登録などが行える場所です。まずはここでバランガイキャプテンに挨拶をします。そして寄付を行い、お邪魔させていただく旨を伝えます。
事前準備:
- 貴重品は最小限に
- 大金は持ち歩かない
- カメラ・スマホは目立たないように
- パスポートコピーのみ持参
ステップ2:ハッピーランド見学(1~1.5時間)
トンドに住むフィリピン人ガイドと一緒に昼間に行ったので、ハッピーランドの治安は悪いとは感じなかった。スラムという印象もない。
ハッピーランドの実態:
街は普通だった。学校も教会もあって、路上では子供たちがバスケをしている。フィリピンのどこにでもある光景。ゴミで臭いと思っていたけど、まったくそんなことはなかった。
「トンドは治安は悪いの?」ってガイドに聞いたら笑っていた。ハッピーランドには20000人が住んでいるらしい。(子供は含めない)。部屋はだいたい月1500ペソ。ただしトイレなし、電気なし、水なし。
住民との交流:
現地の子供は非常に人懐っこく一緒にバスケをしたり、バトミントンをしたりすることも出来ます。
子供たちは外国人を見ると笑顔でハイタッチしてくる。目が合うと「写真を撮ってくれ!」とポーズを撮る。お金を請求されることはなかった。
ステップ3:ゴミ分別エリア見学
大きなトラックが行き来して、その間をゴミを運ぶ人がすり抜けていく。埃がとにかくすごい。
粗大ゴミ、プラスティック、タイヤ、木などが分別されて積み上げられている。どれぐらいのお金になるのか尋ねると、プラスティックを1キロ集めて2ペソ。ゴミのリサイクルだけで生活するのは困難。それでも、学校に行く前に働いている子供たちがたくさんいた。
スカベンジャーの収入: 1日8時間から10時間ほど働いて得られるのは、150~300ペソ(約390~780円)
ステップ4:ランチ(30分)
トンド地域で人気のあるローカルレストランや屋台でランチを楽しみます。現地の人々と食事を共にしながら、さらに深い交流ができます。もちろん日本食などはないので、屋台のご飯かフィリピン料理を食べます。彼らが普段どのくらいの価格の食事を食べているのか実際の目で確かめましょ。.
訪問時の重要なルール・マナー
絶対に守るべきこと
1. 写真撮影のマナー
私たちは彼らの居住している場所にお邪魔させていただくので、くれぐれも失礼な行動などは慎みましょう。
- 必ず許可を得る
- 勝手に家の中を撮らない
- 子供を被写体にする場合は特に注意
- SNS投稿は慎重に
2. お金を直接渡さない
お金を上げてしまうと現地の子供たちは外国人からお金が貰えると刷り込まれてしまうので、寄付は食べ物や服が望ましいでしょう。
推奨される寄付方法:
- ツアー会社経由で寄付
- バランガイオフィスへの寄付
- NGO団体を通じた支援
- 出来るだけ彼らの売店で購入したりすると現地の方にも喜んでもらえます English With
3. 服装と持ち物
- 高価なアクセサリーは避ける
- 動きやすく目立たない服装
- リュックは前に抱える
- スマホは常に握りしめる
4. ガイドの指示に従う
不要な注意や窃盗被害、怪我、事故、アクシデント等を避けるためツアー中は必ずガイドの指示に従ってください。
スラム街で見る現実
パグパグ(Pagpag)
ボランティアの一つとして、スラム街の人々に食事を提供する炊き出しがあります。スラム街の人々は、得られる収入が少なく、また一世帯の人数が多いため十分な食事を食べられていません。例えば、スモーキーバレに住む人々は、飲食店から出たゴミから、まだ食べられそうな残飯を見つけて調理し食べる習慣(パグパグ)があります。
子供たちの現実
スラム街に住む人々の現実的な生活がうかがえます。
その写真は、スラム街で1人の少年が車にひかれた写真でした。バラックがぎっしり並んでいるスラム街は道が狭いのにもかかわらず、車はかなりのスピードで走っています。子どもが車にひかれて亡くなるのも珍しい話ではない 。
訪問者の声・感想
印象的だったこと
スラムに行くとカルチャーショックを受ける日本人は多い。貧困問題を目の当たりにしてショックを受ける。さらにスラムで生きている人たちが楽しそうなことにショックを受ける。だいたいこのダブルショックを経験する。この街であった人たちもみな笑顔だった。
街で出会ったフィリピン人、ボランティアで一緒に活動したフィリピン人、みんな明るかったけど、このエリアの人たちはさらに明るい気がした。とにかく大人も子どもも人懐っこい。
訪問後の気づき
結論、行ってみて、自分の目で見て、空気感を感じる事ができて良かった。個人的には、本当の幸せとは?自分の価値観とは?とか、いろいろ、くらうことになるかもしれない。
38年間生きてきた自分が悩んだり、ヘコんだりするときはいつだって他人と比較したとき。一方でトンド地区に住む人たちはどうだろう。トンド地区という大きなコミュニティに属し、恐らくみんな収入や住居など似たような環境にいる。
支援活動に参加する方法
炊き出しボランティア
炊き出しを行うことで、安全で栄養価の高い食事を提供できます。国際ボランティア団体・グローリアセブは、毎週炊き出しのボランティアを行っているので、興味のある方は目を通してみてください。
教育支援
ご縁のあるNPO法人のアクセスさんを通じて、フィリピン・トンドのスラムに暮らす子どもたちへの就学支援のサポートに使わせていただきたいと思います。
よくある質問(FAQ)
- 一人で行っても大丈夫ですか?
-
いいえ、絶対にガイド同行が必要です。治安が悪いと言われているフィリピンのマニラ。その中で、行ってはいけない危ない地域としてよく挙げられるのが、Tondo(トンド)です。
- 本当に危険ではないのですか?
-
トンドに住むフィリピン人ガイドと一緒に昼間に行ったので、ハッピーランドの治安は悪いとは感じなかった。ただし、必ず昼間にガイド同行で訪問してください。
- 子供にお菓子をあげてもいいですか?
-
お金を上げてしまうと現地の子供たちは外国人からお金が貰えると刷り込まれてしまうので、寄付は食べ物や服が望ましいでしょう。ただし、ガイドに相談してから。
- いくら持っていけばいいですか?
-
最小限の現金のみ。ツアー代は事前払い、1,000ペソ程度の現金で十分です。
- トイレはありますか?
-
利用可能なエリアもありますが使いにくい場合があります。ツアー開始前に集合場所のファストフード店などで要を済ませておくことをおすすめします。
- 女性一人でも参加できますか?
-
ツアーなら可能ですが、グループ参加の方が安心です。
- 何を学べますか?
-
フィリピンの貧困問題、格差、スカベンジャーの生活、そして何より「幸せとは何か」を考えさせられます。
- 写真は自由に撮れますか?
-
必ず許可を得てください。特に人物撮影は慎重に。
- どの時期に行くのがいいですか?
-
催行日:基本毎日(ご相談ください)。乾季(11月~5月)の方が道路状況が良いです。
- 訪問後にできることはありますか?
-
NGO団体への継続的な支援、SNSでの正しい情報発信、周囲への啓発活動などがあります。
Q6: 女性一人でも参加できますか? ツアーなら可能ですが、グループ参加の方が安心です。
Q7: 何を学べますか? フィリピンの貧困問題、格差、スカベンジャーの生活、そして何より「幸せとは何か」を考えさせられます。
Q8: 写真は自由に撮れますか? 必ず許可を得てください。特に人物撮影は慎重に。
Q9: どの時期に行くのがいいですか? 催行日:基本毎日(ご相談ください) Nexseed。乾季(11月~5月)の方が道路状況が良いです。
Q10: 訪問後にできることはありますか? NGO団体への継続的な支援、SNSでの正しい情報発信、周囲への啓発活動などがあります。
まとめ
マニラのスラム街訪問は、面白半分で行く場所ではないので、真剣に彼らの生活に興味がある方のみ English Withが訪れるべき場所です。
訪問する意義:
- 貧困問題の理解:テレビやネットではわからないリアルを体感
- 価値観の変化:幸せの定義を見つめ直す機会
- 支援のきっかけ:NGO活動を知り、支援を始められる
- 教育的効果:特に若い世代に推奨
- 格差の実感:経済発展の光と影を学ぶ
訪問時の心構え:
- 敬意:彼らの生活空間にお邪魔させていただく
- 学び:単なる見物ではなく学びの姿勢で
- 配慮:写真やSNS投稿は慎重に
- 安全:必ずガイド同行、昼間の訪問
- 継続:一度の訪問で終わらず、支援を続ける
スラムや貧困問題に関心がある方は勿論、日本で生活していることに不満を持っている方や、特に若い方に足を運んでもらいたいかも。フィリピンの貧困問題を知り、理解し、そして何ができるかを考える。それがスラム街訪問の本当の意義です。

