クラーク自由経済特別区(パンパンガ州)にある ナヨン・ピリピノ(Nayong Pilipino Clark) は、フィリピン全国の文化・歴史・民族をコンパクトに楽しめるテーマパーク。
初代施設はマニラ近郊にありましたが、現在はクラークで再開され、バロソアイン教会やリサールの家、アエタ族・カリンガ族などの伝統的なビレッジが再現されています。まさに日本人旅行者にも日本の田舎を巡るように楽しめる内容となっています。本記事ではアクセス、料金、見どころ、ショー情報、周辺観光といった視点から、日本人にとって価値ある滞在計画をご紹介します。
ナヨン・ピリピノクラークとは?

歴史的背景と再開発の経緯
ナヨン・ピリピノは、フィリピンの多様な文化と伝統を一箇所で体験できる文化テーマパークとして1970年代にマニラに開設されました。民族村や文化展示で多くの観光客に愛されていましたが、2002年にニノイ・アキノ国際空港の拡張工事により閉鎖を余儀なくされました。
その後約12年の空白期間を経て、クラーク地区の元エキスポサイトに移設され、2014年に「ナヨン・ピリピノ クラーク」として再オープンを果たしました。現在は、より現代的な施設設備と充実した展示内容で、フィリピンの豊かな文化遺産を伝承する重要な役割を担っています。
展示内容と文化的価値
園内では以下のような多彩な展示と体験が楽しめます:
- 世界遺産級のランドマーク再現: バナウェ棚田、チョコレートヒルズなどの絶景スポット
- 歴史的建造物: バロソアイン教会、ホセ・リサール邸の精巧な復元
- 民族文化村: アエタ族、カリンガ族、イフガオ族などの伝統的住居
- 伝統芸能ショー: ティニクリング、サヤウ・サ・バンコなどの民族舞踊
- 文化博物館: 織物、楽器、工芸品の常設展示
- 体験ワークショップ: 伝統工芸の制作体験(週末限定)
施設の規模と特徴
約3.5ヘクタールの敷地に効率よく配置された展示エリアは、半日から1日かけてゆっくりと見学できる規模です。教育的価値が高い一方で、インスタ映えするフォトスポットも多数あり、家族連れから文化愛好家まで幅広い層に支持されています。
基本情報・アクセス・料金
項目 | 内容 |
---|---|
正式名称 | Nayong Pilipino Clark Cultural Park |
住所 | Clark Expo, Centennial Road, Mabalacat, Pampanga |
入場料 | 大人 ₱150、子供(12歳以下) ₱100、シニア(60歳以上) ₱120 |
営業時間 | 金曜~火曜 09:00~17:00(水・木曜定休) |
ショー時間 | 10:00、14:00、16:00(平日は14:00のみ) |
所要時間 | 1.5~3時間(ショー鑑賞・体験含む) |
駐車場 | 無料駐車場完備 |
言語対応 | 英語、フィリピノ語(日本語ガイドなし) |
アクセス方法
クラーク市内から
- SM ClarkやWalking Streetからタクシー・Grab利用で約10分
- トライシクル利用で15-20分(料金₱50-80)
マニラから
- バス:パサイ・キューブルから約2時間(₱200-300)
- 車:NLEX経由で約1.5時間
クラーク国際空港から
- タクシー・Grab利用で約20分(₱200-300)
ナヨン・ピリピノの見どころ徹底解説

フィリピン各地のランドマーク再現エリア
バナウェ棚田ミニチュア
北ルソンの世界遺産「バナウェ棚田」を10分の1サイズで再現。実際の棚田の構造や灌漑システムを学べる教育的価値の高い展示です。背景には美しい山並みが描かれ、写真撮影スポットとしても人気。
チョコレートヒルズ模型
ボホール島の有名な地形「チョコレートヒルズ」を立体的に再現。乾季に茶色くなる丘陵の特徴も忠実に表現されており、フィリピンの自然の多様性を実感できます。
バロソアイン教会レプリカ
フィリピン独立宣言の舞台となった歴史的教会を精密に復元。内部も見学可能で、フィリピンの独立史について詳しく学ぶことができます。
民族文化体験エリア
アエタ族ビレッジ
フィリピンの先住民アエタ族の伝統的な住居と生活様式を再現。竹や藁を使った建築技術、狩猟・採集文化について説明展示があります。
カリンガ族文化展示
北部ルソンの山岳民族カリンガ族の文化を紹介。特に有名な「バトック(伝統タトゥー)」の歴史と技法について詳しく解説されています。
イフガオ族住居
世界遺産の棚田を築いたイフガオ族の伝統的な高床式住居を実物大で再現。建築技術の素晴らしさを間近で体感できます。
伝統芸能パフォーマンス
ティニクリング(Tinikling)
フィリピンの国民的舞踊。竹竿を使ったリズミカルな踊りで、観客も参加体験できる時間があります。
サヤウ・サ・バンコ(Sayaw sa Bangko)
椅子の上で踊る技術的に高度な民族舞踊。バランス感覚と技術の美しさに圧倒されます。
クラリネット合奏
フィリピン各地の民謡を地元楽器で演奏。心に響く美しいメロディーが楽しめます。
文化博物館エリア
テキスタイル博物館
フィリピン各地の伝統織物を地域別に展示。手織りの技法や文様の意味について詳しく学べます。実際に織機での実演も見学可能。
民族楽器コレクション
クルントン、ガンサ、クラリネットなど、フィリピン各地の伝統楽器を展示。音色を体験できるコーナーもあります。
歴史展示室
スペイン統治時代からアメリカ統治、日本統治、独立までのフィリピンの歴史を時系列で紹介。日本との関わりについても客観的に展示されています。
おすすめ訪問プランとスケジュール
半日コース(2-3時間)
09:00-09:30: 到着・入場
- チケット購入、施設マップ確認
- 記念撮影用の伝統衣装レンタル(₱100)
09:30-10:30: ランドマーク再現エリア散策
- バナウェ棚田、チョコレートヒルズ見学
- バロソアイン教会内部見学
10:30-11:00: 第1回民族舞踊ショー鑑賞
- メインシアターでのライブパフォーマンス
11:00-12:00: 民族文化村見学
- アエタ族、カリンガ族、イフガオ族の住居見学
- 伝統工芸品の実演見学
12:00-12:30: お土産ショップ・カフェタイム
- 地元特産品の購入
- フィリピン料理の軽食
1日満喫コース(4-5時間)
午前中: 上記半日コースと同様
12:30-13:30: ランチ休憩
- 園内レストランで本格フィリピン料理
- 近隣のSM Clarkでの食事も可能
13:30-14:00: 文化博物館見学
- テキスタイル展示室
- 民族楽器コレクション見学
14:00-14:30: 第2回民族舞踊ショー
- 午前とは異なる演目を鑑賞
14:30-15:30: 体験ワークショップ参加
- 竹編み体験(₱200)
- 伝統的な染物体験(₱300)
15:30-16:30: 自由散策・写真撮影
- 見逃したスポットの再訪
- 伝統衣装での記念撮影
16:30-17:00: 最終ショー鑑賞・退場
周辺観光スポットとの連携プラン
組み合わせ可能な近隣施設
- クラーク博物館(徒歩5分)
- 米軍基地時代の歴史展示
- 入場料₱50
- フォート・ストッツェンバーグ遺構(車で5分)
- 歴史的要塞跡
- 無料見学可能
- SM Mall Clark(車で10分)
- ショッピング・食事・エンターテイメント
- Aqua Planet水族館併設
- Walking Street(車で15分)
- 夜の繁華街・レストラン街
- バー・クラブエリア
実際の訪問者の口コミ・評価
高評価のポイント
文化的・教育的価値
「フィリピンの多様な文化を一箇所で学べる素晴らしい施設。特に伝統舞踊ショーは圧巻でした。子供たちも楽しみながら学べて、家族旅行には最適です。」(日本人観光客・40代男性)
「Excellent gardens, green grasses and all types of native huts. We were entertained by tribal dance presentations and spent a whole afternoon there.」(外国人観光客)
施設の美しさとメンテナンス
「園内は非常に綺麗に整備されており、各展示物も丁寧に管理されている印象。写真映えするスポットが多く、SNS投稿にも最適。」(日本人観光客・30代女性)
改善点として挙げられる声
料金に対する価値
「入場料150ペソは少し高めに感じる。もう少し体験プログラムが充実していると良い。」(フィリピン人・20代)
言語対応
「日本語での説明がないため、文化的背景を深く理解するには事前学習が必要。英語ガイドツアーがあると良い。」(日本人観光客・50代)
営業時間
「水・木曜が定休日なのは残念。平日の選択肢が少ない。」
総合評価
TripAdvisor平均評価: 4.2/5.0 Google レビュー: 4.1/5.0 推奨度: 85%の訪問者が「推奨する」と回答
周辺宿泊施設とアクセス利便性
高級ホテル(5つ星級)
Swissôtel Clark Philippines
- ナヨン・ピリピノまで: 車で8分
- 料金目安: ₱8,000-12,000/泊
- 特徴: 国際基準の高級ホテル、日本人スタッフ常駐
Clark Marriott Hotel
- ナヨン・ピリピノまで: 車で10分
- 料金目安: ₱7,000-10,000/泊
- 特徴: マリオット系列、充実した施設
中級ホテル(3-4つ星級)
Park Inn by Radisson Clark
- ナヨン・ピリピノまで: 車で6分
- 料金目安: ₱3,500-5,500/泊
- 特徴: コストパフォーマンス良好、清潔
Red Planet Clark
- ナヨン・ピリピノまで: 車で12分
- 料金目安: ₱2,500-3,500/泊
- 特徴: モダンで清潔、日本人にも人気
エコノミーホテル・ゲストハウス
GV Tower Hotel Clark
- ナヨン・ピリピノまで: 車で15分
- 料金目安: ₱1,500-2,500/泊
- 特徴: バジェット向け、基本設備完備
メリット・デメリット詳細分析

メリット
1. 文化的多様性の体験
フィリピン7,641の島々に散らばる多様な文化を一箇所で効率的に学べる貴重な施設。通常なら数ヶ月かかる文化探訪を1日で体験可能。
2. 教育的価値の高さ
単なる観光施設ではなく、フィリピンの歴史・文化・伝統を体系的に学べる教育機関としての側面が強い。
3. 写真撮影スポットとしての魅力
インスタグラムやSNSでの投稿に最適な美しい景観と建造物。伝統衣装レンタルでより本格的な記念撮影が可能。
4. アクセスの良さ
クラーク市内の主要ホテルや観光地から簡単にアクセス可能。公共交通機関でも訪問しやすい立地。
5. 安全で清潔な環境
セキュリティが行き届いた園内で、小さな子供連れでも安心して見学可能。
デメリット
1. 敷地規模の限界
3.5ヘクタールという敷地は決して広くなく、大型テーマパークと比較すると物足りなさを感じる可能性。
2. 言語バリアー
日本語での説明や案内が不十分。英語での理解が必要なため、言語が不安な観光客には負担。
3. 季節・天候への依存
屋外展示が多いため、雨季や猛暑時期には快適性が大幅に低下。
4. 体験プログラムの限定性
本格的な文化体験ワークショップは週末のみで、平日訪問では選択肢が限られる。
5. 周辺施設との連携不足
単独での訪問には魅力が不足する可能性があり、他の観光地との組み合わせが前提となる。
季節別おすすめ訪問時期
乾季(12月-5月): ★★★★★
最適な訪問時期
- 天候が安定しており屋外展示を快適に見学可能
- 特に12月-2月は涼しく過ごしやすい
- 観光客が多いため、ショーやイベントも充実
雨季前半(6月-8月): ★★★☆☆
注意が必要な時期
- 突然のスコールに注意が必要
- 湿度が高く体感温度が上昇
- 傘や雨具の準備必須
雨季後半(9月-11月): ★★☆☆☆
避けた方が良い時期
- 台風シーズンで天候が不安定
- 屋外イベントが中止になる可能性
- 交通機関にも影響が出る場合あり
予算プランと所要費用
個人旅行者の場合
項目 | 費用 |
入場料 | ₱150 |
交通費(往復) | ₱200-400 |
食事・軽食 | ₱300-500 |
お土産 | ₱500-1,000 |
伝統衣装レンタル | ₱100 |
合計 | ₱1,250-2,150 |
ファミリー(4人家族)の場合
項目 | 費用 |
入場料(大人2名・子供2名) | ₱500 |
交通費(往復) | ₱600-800 |
食事 | ₱1,200-2,000 |
お土産・記念品 | ₱1,000-2,000 |
写真・体験プログラム | ₱500-1,000 |
合計 | ₱3,800-6,300 |
グループツアー(10名程度)の場合
- 団体割引適用で入場料10%オフ
- 専用ガイド手配可能(₱2,000-3,000)
- 貸切バス利用で交通費効率化
- 1人あたり₱1,000-1,500程度
よくある質問(FAQ)
- 日本語ガイドはありますか?
-
残念ながら常駐の日本語ガイドはありません。英語ガイドツアーは事前予約で手配可能(₱1,000-1,500)ですが、基本的に自由見学となります。スマートフォンの翻訳アプリの活用をおすすめします。
- 子供連れでも楽しめますか?
-
はい、非常に子供向けの内容です。特に民族舞踊ショーは参加体験もでき、子供たちに大人気です。ベビーカーでの園内移動も可能で、授乳室やおむつ交換台も完備されています。
- 食事はどうすれば良いですか?
-
A: 園内に軽食カフェがありますが、選択肢は限られます。本格的な食事を希望する場合は、近隣のSM Clarkや市内レストランの利用をおすすめします。お弁当の持参も可能です。
- 雨季でも楽しめますか?
-
屋根付きの展示エリアや博物館もありますが、屋外展示が多いため雨季の訪問は避けることをおすすめします。どうしても雨季に訪問する場合は、午前中の早い時間帯を狙いましょう。
- 写真撮影に制限はありますか?
-
基本的に園内全域で撮影可能です。ただし、民族舞踊ショー中のフラッシュ撮影は禁止されています。商用利用目的の撮影には別途許可が必要です。
- お土産は何がおすすめですか?
-
フィリピン各地の伝統工芸品、特に手織りのテキスタイル製品や竹製品が人気です。価格は₱200-2,000と幅広く、authentic な商品を適正価格で購入できます。
最新情報と今後の発展計画
2024年のリニューアル内容
新設された展示エリア
- イスラム文化展示室(ミンダナオ地方の文化紹介)
- 現代アート融合エリア(伝統と現代の架け橋)
- インタラクティブ体験ゾーン(VR技術を活用した文化体験)
改善された施設
- Wi-Fi完備、多言語音声ガイドアプリ導入
- バリアフリー化の推進
- 駐車場拡張とセキュリティ強化
2025年の予定
新プログラム
- 夜間ライトアップイベント(週末限定)
- 文化交流ワークショップの拡充
- 季節限定フェスティバルの開催
国際化への取り組み
- 日本語パンフレット作成予定
- 日本人向け特別ツアープログラム検討中
- 姉妹都市との文化交流イベント企画
まとめ
ナヨン・ピリピノ クラークは、フィリピンの豊かな文化的多様性を効率的に体験できる貴重な施設として、日本人旅行者にとって非常に価値の高い観光地です。
このスポットをおすすめする理由
- 文化的学習価値: フィリピン全土の文化を体系的に学べる
- コストパフォーマンス: 比較的リーズナブルな価格で充実した体験
- アクセシビリティ: クラーク市内から簡単にアクセス可能
- 家族向け: 子供から大人まで楽しめる内容
- 写真映え: SNS投稿に最適な美しいスポット多数
訪問時の注意点
- 事前に天候チェックし、雨季は避ける
- 英語での案内が中心なため、翻訳アプリ準備
- 他の観光地との組み合わせプランがおすすめ
- 伝統舞踊ショーの時間を事前確認
クラーク滞在中の文化体験スポットとして、クラーク博物館やSM Mall Clark、Aqua Planet水族館などとの組み合わせ訪問で、より充実したフィリピン文化体験を実現できます。
フィリピンの奥深い文化に触れ、現地の人々の温かさと伝統の素晴らしさを実感できるナヨン・ピリピノ クラークは、きっと忘れられない旅の思い出となることでしょう。