フィリピンを訪れる際、多くの日本人が最初に気になるのが「水」の問題です。日本では蛇口をひねれば安全な水道水が出てくるのが当たり前ですが、フィリピンでは事情が大きく異なります。
結論から言うと、フィリピンの水道水は直接飲むことはおすすめできません。特にマニラやセブなどの主要都市でも、水道水をそのまま飲むと下痢や腹痛を起こす可能性があります。配管の老朽化や貯水タンクの衛生状態が原因で、浄水場を出た時点では安全でも、家庭に届くまでに水質が悪化することがあるのです。
しかし、適切な知識を持ち、正しい対策を取れば、フィリピンでも安全に水を利用することができます。この記事では、フィリピンの水事情を徹底的に解説し、旅行者から駐在員まで、すべての方に役立つ実用的な情報をお届けします。
水道水の安全性、ミネラルウォーターの選び方、ウォーターサーバーの利用方法、料理での水の使い分け、万が一水道水を飲んでしまった場合の対処法まで、フィリピンの水に関するあらゆる疑問にお答えします。
目次
フィリピンの水道水の現状
水道水は飲めるのか?
結論:フィリピンの水道水は直接飲むことを推奨しません。
フィリピン全土において、水道水をそのまま飲むことは避けるべきです。これはマニラ、セブ、ダバオなどの主要都市でも同様です。
| 地域 | 水道水の飲用 | 安全性評価 | 備考 |
|---|
| マニラ首都圏 | × 不可 | △ やや良い | Manila Water、Maynilad供給 |
| セブ | × 不可 | △ 普通 | 地域によって差がある |
| ダバオ | × 不可 | △ 普通 | インフラ整備中 |
| 地方都市 | × 不可 | ✗ 悪い | 水質が特に不安定 |
| 農村部 | × 不可 | ✗ 非常に悪い | 井戸水や河川水も |
水道水が飲めない理由
1. 配管の老朽化
浄水場で処理された水も、家庭に届くまでの配管が老朽化しているため、鉄さびや汚れが混入します。
2. 貯水タンクの衛生問題
多くの建物では屋上の貯水タンクを経由しますが、定期的な清掃が行われていないケースが多く、タンク内で水質が悪化します。
3. 水源の汚染リスク
洪水や台風後には水源が汚染されることがあり、一時的に水質が大幅に低下します。
4. 浄水処理の不十分さ
地域によっては浄水処理が不十分で、細菌や不純物が残っている可能性があります。
フィリピンの水道事業者
マニラ首都圏の水道は2つの民間企業が管理しています。
| 事業者 | 管轄地域 | 提携企業 | 特徴 |
|---|
| Manila Water | マニラ東部 | 三菱商事(日本) アヤラ財閥 | 比較的水質が良い サービスが安定 |
| Maynilad | マニラ西部 | 丸紅(日本) メトロパシフィック | Manila Waterより若干劣る |
日本企業が関わっているため、東南アジアの中では比較的水道インフラが整っていますが、それでも日本の基準には達していません。
水道水を飲んでしまった場合の対処法
起こりうる症状
水道水を誤って飲んでしまった場合、以下の症状が現れる可能性があります。
| 症状 | 発生時期 | 重症度 | 対処法 |
|---|
| 下痢 | 数時間~1日後 | 中 | 水分補給、整腸剤 |
| 腹痛 | 数時間~1日後 | 中 | 安静、鎮痛剤 |
| 嘔吐 | 数時間~1日後 | 中 | 水分補給、絶食 |
| 発熱 | 1~2日後 | 高 | 医療機関受診 |
| 血便 | 2~3日後 | 非常に高 | 即座に医療機関へ |
応急処置の方法
1. 水分補給を続ける
- 経口補水液(Hydrite、Gatoradeなど)を飲む
- 少量ずつこまめに摂取
- 脱水症状を防ぐことが最優先
2. 整腸剤の服用
- ビオフェルミンやワカマツなど
- 下痢止めは症状を悪化させる可能性があるため注意
3. 安静にする
4. 医療機関の受診 以下の場合は速やかに病院へ:
- 発熱が38度以上
- 下痢が3日以上続く
- 血便が出る
- 激しい腹痛
- 脱水症状(尿が出ない、めまい)
マニラの主要病院
| 病院名 | 所在地 | 日本語対応 | 特徴 |
|---|
| St. Luke’s Medical Center | BGC/ケソン | あり | 最高水準の医療 |
| Makati Medical Center | マカティ | あり | 駐在員に人気 |
| Asian Hospital | アラバン | あり | 日本人医師在籍 |
| Manila Doctors Hospital | マニラ市内 | なし | 救急対応充実 |
フィリピンで安全に使える水の種類
フィリピンで入手できる水は大きく4種類に分けられます。
1. 水道水(Tap Water)
用途: 洗濯、掃除、トイレ、シャワー
飲用: × 不可
特徴:
- 日常生活の基本的な用途には問題なし
- 料理には使用を避けるべき
- 歯磨きにも使用を控えたい
料金: 非常に安い(月額500~2,000ペソ程度)
2. 濾過浄水(Filtered Water / Purified Water)
用途: 料理、洗米、野菜洗い
飲用: △ 可能だが推奨しない
特徴:
- 水道水を浄水器で濾過した水
- 町の水屋さんで購入可能
- 青い18ガロンボトル(約68L)で販売
- フィリピン人の一般家庭で最も使われる
料金: 20~40ペソ/18ガロン(約60~120円)
購入場所:
- リフィルステーション(町の水屋さん)
- スーパーマーケット
- ウォーターサーバー業者
3. ミネラルウォーター(Mineral Water / Bottled Water)
用途: 飲用、料理、歯磨き
飲用: ○ 安全
特徴:
- 最も安全な飲料水
- スーパーやコンビニで手軽に購入
- ブランドによって軟水・硬水がある
- サイズが豊富(350ml~19L)
料金:
- 350ml: 10~15ペソ(約30~45円)
- 1L: 20~30ペソ(約60~90円)
- 6L: 40~60ペソ(約120~180円)
4. 蒸留水(Distilled Water)
用途: 医療用、精密機器、特殊用途
飲用: △ 可能だが味がない
特徴:
- 不純物を完全に除去
- ミネラルも含まれない
- 長期的な飲用には不向き
- 日常使いには高価
料金: 50~80ペソ/L(約150~240円)
おすすめのミネラルウォーターブランド
フィリピンで購入できる主なミネラルウォーターをご紹介します。
軟水ブランド(日本人におすすめ)
| ブランド名 | 硬度 | 価格帯 | 特徴 |
|---|
| Nature Spring | 軟水 | 安い | フィリピンで最もポピュラー 入手しやすい |
| SUMMIT | 軟水 | 普通 | 清涼感がある 人気ブランド |
| Absolute | 軟水 | 普通 | 飲みやすい 品質安定 |
| Wilkins | 軟水寄り | やや高い | やや高級 レストランでも使用 |
硬水ブランド
| ブランド名 | 硬度 | 価格帯 | 特徴 |
|---|
| VIVA! | 硬水 | 安い | ミネラル豊富 健康志向の方に |
| Evian | 硬水 | 高い | 輸入品 高級レストラン向け |
| Perrier | 硬水 | 非常に高い | 炭酸水 輸入品 |
購入場所と価格
| 購入場所 | 価格帯 | 品揃え | 利便性 |
|---|
| コンビニ | やや高い | 少ない | ★★★★★ |
| スーパーマーケット | 普通 | 豊富 | ★★★★☆ |
| 卸売り店 | 安い | 非常に豊富 | ★★★☆☆ |
| オンライン(Lazada/Shopee) | 安い | 豊富 | ★★★★☆ |
| ホテル内売店 | 高い | 少ない | ★★★★★ |
ウォーターサーバーの利用方法
駐在員や長期滞在者には、ウォーターサーバー(Water Dispenser)の利用が一般的です。
ウォーターサーバーの種類
1. 冷温水タイプ
- 冷水と温水が出る
- 最も一般的なタイプ
- 価格: 2,000~5,000ペソ
2. 常温タイプ
- 常温の水のみ
- 電気不要
- 価格: 500~1,500ペソ
3. 浄水器付きタイプ
- 水道水を浄化して使用
- ボトル不要
- 価格: 10,000~30,000ペソ
ウォーターサーバーの購入・レンタル
購入場所:
- ACE Hardware
- Anson’s
- True Value
- SM Department Store
- Lazada / Shopee(オンライン)
レンタル:
- 月額: 300~500ペソ
- デポジット: 500~1,000ペソ
- 最低契約期間: 3ヶ月~
ウォーターボトルの配達サービス
主要な配達業者:
| 業者名 | 価格(5ガロン) | 配達エリア | 信頼性 |
|---|
| Wilkins | 150~180ペソ | 全国 | ★★★★★ |
| Nature Spring | 140~170ペソ | 全国 | ★★★★☆ |
| Absolute | 130~160ペソ | マニラ中心 | ★★★★☆ |
| Tree Water | 70~90ペソ | 地域限定 | ★★★☆☆ |
| Local Refill Station | 40~60ペソ | 近隣のみ | ★★☆☆☆ |
配達サービスの注意点
フィリピンあるある:
- 時間通りに届かないことが多い
- 3回に1回は届かないこともある
- 前日予約でも翌日に来ないことがある
- 電話がつながらないことが頻繁
対処法:
- 複数の業者と契約
- 予備のボトルを常に確保
- 近くのコンビニやスーパーも利用
- 配達時間には期待しない
場面別:水の使い分けガイド
フィリピン生活で、どの場面でどの水を使うべきか、具体的にご紹介します。
飲用水
| 用途 | 使用する水 | 備考 |
|---|
| そのまま飲む | ミネラルウォーター | 最も安全 |
| お茶・コーヒー | ミネラルウォーター | 沸騰させても安心 |
| 薬を飲む | ミネラルウォーター | 必ずボトル水で |
| 歯磨き | ミネラルウォーター | 旅行者は特に注意 |
| うがい | ミネラルウォーター または水道水 | 軽くすすぐ程度なら水道水も可 |
料理用
| 用途 | 使用する水 | 理由 |
|---|
| 米を炊く | ミネラルウォーター または濾過浄水 | 直接口に入るため |
| スープ・味噌汁 | ミネラルウォーター | そのまま飲むため |
| パスタを茹でる | 濾過浄水 または水道水 | 茹でこぼすため |
| 野菜を茹でる | 濾過浄水 または水道水 | 加熱するため |
| 煮込み料理 | 濾過浄水 または水道水 | 長時間加熱するため |
洗浄用
| 用途 | 使用する水 | 備考 |
|---|
| 生で食べる野菜・果物 | ミネラルウォーター | サラダ、フルーツなど |
| 加熱する野菜 | 濾過浄水 または水道水 | 加熱後食べるもの |
| 米を洗う | 濾過浄水 | 水道水でも可だが濾過水が理想 |
| 食器洗い | 水道水 | 問題なし |
| まな板・包丁 | 水道水 | 最後に熱湯消毒が理想 |
日常生活
| 用途 | 使用する水 | 備考 |
|---|
| シャワー・入浴 | 水道水 | 問題なし |
| 洗顔 | 水道水 | 肌が弱い人は注意 |
| 手洗い | 水道水 | 問題なし |
| 洗濯 | 水道水 | 問題なし |
| 掃除 | 水道水 | 問題なし |
| トイレ | 水道水 | 問題なし |
| ペットの飲み水 | ミネラルウォーター | 動物も水道水は避ける |
レストランでの水の注意点
フィリピンのレストランで提供される水にも注意が必要です。
レストランの種類別リスク
| レストラン種類 | 水のリスク | 氷のリスク | 対策 |
|---|
| 高級レストラン | 低い | 低い | 安全性高い |
| 中級レストラン | 普通 | 普通 | 一応安全 |
| ローカル食堂 | 高い | 非常に高い | 要注意 |
| 屋台 | 非常に高い | 非常に高い | 避けるべき |
| ファストフード | 低い | 普通 | 比較的安全 |
サービスウォーターの実態
レストランで無料提供される水(Service Water)
- 多くは水道水をそのまま提供
- 料理にも水道水使用が一般的
- 高級店でも油断は禁物
対策:
- ボトルウォーターを注文(20~40ペソ)
- 「No ice, please」と伝える
- 飲み物は常温で注文
- サービスウォーターは断る
氷(Ice)の危険性
フィリピンの氷は特に注意が必要です。
氷の種類:
- 管理された氷: 清潔な水で作られる(高級店)
- 水道水の氷: 水道水で作られる(一般的な店)
- 購入した氷: 氷工場から仕入れ(品質まちまち)
安全な氷の見分け方:
- 透明な氷(不純物が少ない)
- 形が均一(工業製品)
- 高級店やチェーン店の氷
危険な氷:
旅行者向け:短期滞在での水対策
フィリピン旅行中の水対策をまとめました。
出発前の準備
持参すべきもの:
- 整腸剤(ビオフェルミンなど)
- 下痢止め(正露丸など)
- 経口補水液の粉末
- ウェットティッシュ
- 携帯用浄水器(長期滞在の場合)
到着後すぐにすべきこと
1. ミネラルウォーターの確保
- 空港またはコンビニで購入
- 1日2L程度を目安に
- ホテルの部屋に常備
2. ホテルでの確認事項
- 無料ミネラルウォーターの有無
- ウォーターサーバーの場所
- レストランの水の安全性
日数別の必要量と費用
| 滞在日数 | 必要な水(1人) | 費用目安 | 購入方法 |
|---|
| 1~2日 | 4~6L | 100~150ペソ | コンビニで毎日購入 |
| 3~5日 | 10~15L | 250~400ペソ | スーパーで6Lボトル購入 |
| 1週間 | 20~25L | 400~600ペソ | スーパーでまとめ買い |
| 2週間以上 | 40L~ | 800ペソ~ | ウォーターサーバー検討 |
旅行中の注意ポイント
やって良いこと:
- ホテルの歯磨き用水を使う(ボトル水が理想)
- シャワー・洗顔は水道水でOK
- ペットボトルは常に携帯
- レストランではボトル水を注文
やってはいけないこと:
- 水道水を直接飲む
- 屋台の水や氷を摂取
- サービスウォーターを安易に飲む
- 生野菜を無防備に食べる(洗浄水が不明)
駐在員・長期滞在者向け:生活での水対策
長期滞在する方向けの、より実践的な水対策をご紹介します。
月間の水コスト
一般的な家庭(2~4人)の月間コスト:
| 項目 | 使用量 | 費用 | 備考 |
|---|
| 水道代 | 制限なし | 500~2,000ペソ | 使用量により変動 |
| ミネラルウォーター | 100~150L | 600~900ペソ | 飲用・料理用 |
| ウォーターサーバー | 80~120L | 400~600ペソ | 濾過浄水の場合 |
| 合計 | – | 1,500~3,500ペソ | 約4,500~10,500円 |
住居タイプ別の水事情
コンドミニアム:
- 水道代は管理費に含まれることも
- ウォーターサーバー設置可能
- 配達サービス利用しやすい
- 貯水タンクの清掃状況を確認
一戸建て:
- 水道代は別途支払い
- 浄水器設置を検討
- ウォーターサーバー必須
- 井戸水の場合は特に注意
シェアハウス:
- ウォーターサーバー共用
- ミネラルウォーターは各自購入
- 料理用水は相談して決める
浄水器の設置
浄水器の種類と費用:
| タイプ | 価格 | メンテナンス | 効果 |
|---|
| 蛇口直結型 | 1,000~3,000ペソ | フィルター交換 (3~6ヶ月) | △ 基本的な濾過 |
| 据え置き型 | 5,000~15,000ペソ | フィルター交換 (6ヶ月~1年) | ○ しっかり濾過 |
| 逆浸透膜(RO) | 15,000~40,000ペソ | メンテナンス必須 (1年に1回) | ★ 最高レベルの濾過 |
おすすめ: 飲用には向かないが、料理用には十分。コストパフォーマンスが良い。
水に関する病気とその予防
フィリピンの水が原因で発生する可能性のある病気と予防法をご紹介します。
水が原因の主な病気
| 病気 | 原因 | 症状 | 予防法 |
|---|
| コレラ | コレラ菌 | 激しい下痢、嘔吐、脱水 | 水道水を飲まない |
| 腸チフス | サルモネラ菌 | 高熱、腹痛、下痢 | 衛生管理、ワクチン |
| A型肝炎 | A型肝炎ウイルス | 発熱、黄疸、倦怠感 | ワクチン接種 |
| 細菌性赤痢 | 赤痢菌 | 血便、腹痛、発熱 | 清潔な水を使用 |
| アメーバ赤痢 | 赤痢アメーバ | 下痢、腹痛 | 生水を避ける |
| ジアルジア症 | ジアルジア原虫 | 下痢、腹部膨満感 | 浄化された水のみ |
推奨されるワクチン
フィリピン渡航前に接種推奨:
- A型肝炎ワクチン(必須)
- 腸チフスワクチン(推奨)
- B型肝炎ワクチン(推奨)
- 破傷風ワクチン(推奨)
日常的な予防策
基本の予防策:
- 水道水を直接飲まない
- こまめな手洗い(石鹸使用)
- 生野菜は信頼できる店のみ
- 屋台の食べ物は避ける
- 氷入り飲料に注意
- 調理前後の手洗い徹底
よくある質問(FAQ)
- マニラの水道水は本当に飲めないのですか?
-
はい、おすすめしません。Manila WaterやMayniladが供給する水は浄水場レベルでは飲用可能な基準を満たしていますが、家庭に届くまでの配管の老朽化や貯水タンクの衛生状態により、水質が悪化する可能性があります。日本人の体質には合わないことが多く、下痢や腹痛を起こすリスクがあるため、ミネラルウォーターの使用を強く推奨します。
- 沸騰させれば水道水は飲めますか?
-
沸騰によって細菌やウイルスは死滅しますが、重金属や化学物質、鉄さびなどは除去できません。また、長時間沸騰させることで不純物が濃縮される可能性もあります。緊急時以外は、沸騰させた水道水よりもミネラルウォーターを使用することをおすすめします。
- シャワーや歯磨きで水道水を使っても大丈夫ですか?
-
シャワーや洗顔は水道水で問題ありません。ただし、シャワー中に口に水が入らないよう注意してください。歯磨きについては、旅行初期や体調が優れない時はミネラルウォーターを使用し、慣れてきたら水道水でも構いません。ただし、うがいをした後は水を飲み込まないようにしましょう。
- ホテルの水は安全ですか?
-
ホテルのグレードによります。5つ星ホテルでは浄水システムが整っている場合もありますが、それでも飲用はおすすめしません。ほとんどの中級以上のホテルでは無料のミネラルウォーターが部屋に用意されているので、それを利用しましょう。用意されていない場合は、フロントに依頼するか、近くのコンビニで購入してください。
- どのミネラルウォーターブランドが一番安全ですか?
-
フィリピンで販売されている主要ブランド(Nature Spring、SUMMIT、Absolute、Wilkins)はすべて飲用に適した基準を満たしており、安全性に大きな差はありません。日本人の味覚には軟水タイプが合いやすいため、Nature SpringやSUMMITがおすすめです。重要なのは、購入時にボトルのキャップが未開封であることを確認することです。
- レストランで氷入りの飲み物を注文しても大丈夫ですか?
-
高級レストランやチェーン店であれば比較的安全ですが、ローカル食堂や屋台の氷は避けるべきです。不安な場合は「No ice, please(氷なしで)」と注文しましょう。特に旅行初日や体調が優れない時は、氷入り飲料を避けることをおすすめします。
- フィリピン人はなぜ水道水を飲んでも平気なのですか?
-
フィリピン人も基本的には水道水を直接飲みません。ほとんどの家庭でウォーターサーバーや濾過浄水を使用しています。ただし、幼少期から慣れ親しんでいるため、時々水道水を飲んでも体調を崩さないことがあります。一方、日本人は衛生的な環境で育っているため、フィリピンの水に対する耐性が低く、容易に体調を崩します。
- 野菜や果物を洗う水はどうすればいいですか?
-
生で食べる野菜や果物は、必ずミネラルウォーターまたは濾過浄水で洗ってください。特にサラダやフルーツは水道水で洗うと、表面に細菌が残る可能性があります。加熱調理する野菜であれば、水道水で洗った後、しっかり加熱すれば問題ありません。
- 水道水を使って氷を作っても大丈夫ですか?
-
おすすめしません。氷を作る際も、ミネラルウォーターまたは濾過浄水を使用してください。水道水で作った氷を飲み物に入れると、溶けた際に水道水と同じリスクが生じます。家庭で氷を作る場合は、必ず安全な水を使用しましょう。
- 長期滞在の場合、水代はどのくらいかかりますか?
-
一般的な家庭(2~4人)で月額1,500~3,500ペソ(約4,500~10,500円)程度です。内訳は、水道代500~2,000ペソ、ミネラルウォーターまたはウォーターサーバー代が600~1,500ペソです。ウォーターサーバーを活用し、料理には濾過浄水を使うことで、コストを抑えることができます。
地域別の水事情
フィリピン各地の水事情には地域差があります。
マニラ首都圏(Metro Manila)
水道事業者: Manila Water(東部)、Maynilad(西部)
水質: △ 比較的良い
特徴:
- フィリピン国内では最も水道インフラが整備されている
- 日本企業が関与しているため安定供給
- それでも飲用には不適
対策:
- ミネラルウォーターは容易に入手可能
- ウォーターサーバーの配達サービスが充実
- 浄水器の設置も選択肢
セブ(Cebu)
水道事業者: Metro Cebu Water District(MCWD)
水質: △ 普通
特徴:
- 観光地のため水の需要が高い
- 乾季には水不足が発生することも
- 地域によって水質にばらつき
対策:
- ホテルやコンドミニアムは比較的安全
- リゾートエリアでは水の管理が良い
- ミネラルウォーターの購入が最も安全
ダバオ(Davao)
水道事業者: Davao City Water District(DCWD)
水質: △ 普通
特徴:
- 比較的治安が良く、インフラ整備が進行中
- 地下水を水源としている地域も多い
- 水質は地域によって異なる
対策:
- ミネラルウォーターの使用が基本
- ウォーターサーバーの利用が一般的
地方都市・農村部
水道事業者: 地方自治体管理
水質: ✗ 悪い~非常に悪い
特徴:
- 水道インフラが未整備の地域も多い
- 井戸水や河川水を使用している家庭も
- 水質は非常に不安定
対策:
- ミネラルウォーター必須
- 浄水器や携帯用浄水器の使用
- できるだけ主要都市に滞在
緊急時の水確保方法
台風や災害時、水の供給が止まることがあります。
災害時の備え
備蓄すべき水の量:
- 1人1日3L×最低3日分=9L以上
- 家族4人なら36L以上
備蓄方法:
- 未開封のミネラルウォーターを常備
- ウォーターサーバーのボトル予備
- 賞味期限を定期的に確認
台風シーズン(6月~11月)の対策
台風前にすべきこと:
- ミネラルウォーターの買い増し(最低20L)
- バスタブに水道水を溜める(生活用水)
- 携帯用浄水器の準備
- 非常食の確保
- 懐中電灯と電池の確認
台風後の注意点:
- 水道が復旧しても、しばらくは水質が悪化している可能性
- 洪水後は特に水道水の使用に注意
- 最低1週間はミネラルウォーターのみ使用
- 水が茶色や濁っている場合は絶対に飲まない
断水時の対処法
短期間の断水(数時間~1日):
- 備蓄水を使用
- 近隣のコンビニで購入
- ホテルやショッピングモールのトイレを利用
長期間の断水(2日以上):
- 給水車の場所を確認(バランガイに問い合わせ)
- 大型スーパーでまとめ買い
- 友人宅やホテルに一時避難も検討
水に関する便利なフレーズ(英語・タガログ語)
フィリピンで水を購入する際に役立つフレーズをご紹介します。
購入時のフレーズ
英語:
- “Can I have a bottle of water, please?”(水を1本ください)
- “Do you have mineral water?”(ミネラルウォーターはありますか?)
- “I need 2 bottles of 1.5 liter water.”(1.5Lの水を2本ください)
- “Is this safe to drink?”(これは飲んでも安全ですか?)
タガログ語:
- “Tubig po.”(トゥビッグ ポ)=水をください
- “May mineral water po ba?”(マイ ミネラルウォーター ポ バ?)=ミネラルウォーターはありますか?
- “Dalawang bote po.”(ダラワン ボテ ポ)=2本ください
レストランでのフレーズ
英語:
- “No ice, please.”(氷は入れないでください)
- “Can I have bottled water?”(ボトルウォーターをいただけますか?)
- “I don’t want tap water.”(水道水は要りません)
- “Room temperature, please.”(常温でお願いします)
緊急時のフレーズ
英語:
- “I drank tap water by mistake.”(間違って水道水を飲んでしまいました)
- “I have diarrhea.”(下痢をしています)
- “Where is the nearest hospital?”(最寄りの病院はどこですか?)
- “I need medicine for stomachache.”(胃痛の薬が必要です)
まとめ
フィリピンでの水の使い方をまとめると、以下の10のルールに集約されます。
【絶対守るべき10のルール】
- 水道水は絶対に飲まない どんなに清潔に見えても、水道水の直接飲用は避けましょう。
- 歯磨きもミネラルウォーターで 特に旅行初期は、歯磨きやうがいもミネラルウォーターを使用。
- 氷入り飲料に注意 ローカル食堂や屋台の氷は避け、不安な時は「No ice」と伝える。
- 生野菜・果物はミネラルウォーターで洗う 生で食べるものは必ず安全な水で洗浄する。
- レストランではボトルウォーターを注文 サービスウォーターは基本的に断り、ボトル水を購入する。
- 常にミネラルウォーターを携帯 外出時は必ずペットボトルを持ち歩く習慣をつける。
- 料理にはミネラルウォーターまたは濾過浄水 米を炊く、スープを作るなど、直接口に入る料理には安全な水を使用。
- 長期滞在はウォーターサーバーを導入 コストパフォーマンスが良く、便利。
- 万が一に備えて薬を準備 整腸剤、下痢止め、経口補水液を常備。
- 体調不良時はすぐに医療機関へ 下痢や腹痛が続く場合は、早めに病院を受診。
最後に:フィリピンの水と上手に付き合う
フィリピンの水事情は、日本と大きく異なります。しかし、正しい知識を持ち、適切な対策を取れば、安全で快適な生活を送ることができます。
重要なポイント:
- 過度に神経質になる必要はない: シャワーや洗顔は水道水で問題なし
- 飲用には必ずミネラルウォーター: これだけは徹底する
- 慣れてきても油断しない: 長期滞在者でも水道水の飲用は避ける
- コストとのバランス: すべてミネラルウォーターにすると高コスト、用途に応じて使い分け
- 体調管理が最優先: 少しでも不安があれば医療機関へ
フィリピンは美しいビーチ、温かい人々、豊かな文化を持つ魅力的な国です。水の問題は正しい知識と準備があれば十分に対処できます。この記事を参考に、安全で楽しいフィリピン生活をお過ごしください。